エイサーの意味や由来を紹介!【球陽寺②】

お盆第2弾エイサーアイキャッチ画像

沖縄の夏の風物詩、エイサー!お盆やお祭りなど各地でさまざまな行事が催されています。そこで、エイサーの意味や由来などを前回の【沖縄のお盆、マンション住まいはどうする?】に続き、球陽寺(コザ本願寺)の副住職・帰依 剛龍さんに教えていただきました。

この方にお話しを伺いました!
帰依剛龍さん(サイズ調整)

 

帰依 剛龍さん

コザ山 ライカム院 球陽寺(コザ本願寺) 副住職

2022年に浄土真宗本願寺派(西本願寺)球陽寺の副住職に就任。学術的な琉球・沖縄の儀式と法要を分かりやすく伝えるお坊さんとして、SNSなどを積極的に活用している。毎週金曜日18:00〜18:30は、FMコザから「キエ剛龍の沖縄のしきたりと仏教」を発信中。

コザ山 ライカム院 球陽寺(コザ本願寺) 
http://www.kozazankyuyoji.com/

帰依 剛龍さん インスタグラム 
https://www.instagram.com/gohryu88/

エイサーの由来は念仏踊り

球陽寺②袋中上人の像球陽寺に鎮座する袋中上人の像

球陽寺(コザ本願寺)はエイサーの発展に貢献していることでも有名で、地元では「エイサー寺」ともいわれています。エイサー寺の副住職に、エイサーの歴史について解説していただきました!

エイサーの歴史

エイサーの起源は諸説ありますが、1400年頃の琉球王朝ではすでに、7月15日の王族の年忌法要の際に踊りが披露されていたといわれています。また、1603年に磐城(今の福島県)から琉球に来た袋中上人(たいちゅうしょうにん)という仏教僧が、浄土思想の布教である念仏踊りとして広めたという説もあります。

エイサーの歴史や起源についてはっきりと記された文献はなく今も研究が続けられていますが、元々琉球王朝で踊られていた年忌法要の踊りと袋中上人が伝えた念仏踊りが合わさって、今の形になったとも考えられるでしょう。

仏教における念仏踊りとはお念仏を普及するための手段の一つです。それが全国各地でそれぞれのスタイルで根付き、地域の伝統芸能となっています。袋中上人の故郷である福島県いわき市には、エイサーによく似た「じゃんがら念仏踊り」があるので、袋中上人が伝えたという説はなかなか有力といえそうです。

伝統エイサー

伝統エイサーはお盆(旧暦の7月13日~15日)の最終日に、ご先祖様が無事にグソー(後生、あの世)に戻れますようにと祈願し、地域ごとに開催されます。地元の青年会が踊りながら練り歩く「道ジュネー」は、お盆ならではの風景。本来は最終日に行われますが、最近では3日間行う地域もあります。

創作エイサー

現代では先祖供養の目的以外にも、さまざまなシーンでエイサーが披露されています。祝福を込めて結婚式で踊ったり、団体競技として子どもたちが運動会で踊ったりなど、エンターテイメントとして披露されるエイサーは創作エイサーとして位置付けられています。

伝統的なエイサーを軸に音楽や振り付け、衣装をアレンジしているので、華やかさやカッコよさがあり、それぞれの団体の個性が発揮されています。沖縄県民だけでなく県外や国外にもファンや団体が存在し、沖縄のエンターテインメントとして認知されています。

チョンダラーはいったい何者?

お盆第2弾エイサーコラム素材①

エイサーに欠かせない存在、チョンダラーについても面白いお話を伺えました。

チョンダラーの役割

チョンダラーとは、エイサーを盛り上げる道化師のような役割りのこと。音頭を取りながらふざけているようにも見えますが、観客を盛り上げたり隊列を整えたり、道ジュネーの道先案内をしたりと重要な役割をいくつも担っています。そのため経験豊富な年長者が務めることが多く、頼れる存在でもあります。

チョンダラーは京太郎で念仏者?

チョンダラーは漢字で書くと「京太郎」。京都から来た太郎という意味ですが、人物のことではありません。明治初期頃まで存在した、首里を根拠地とし那覇・中・南部方面で人形を使って数々の芸を演じていた京都からの芸人団のことを指しています。

彼らは、ある時は京太郎として人形踊りなどさまざまな芸能を披露し、またある時は僧侶の代わりに葬儀などに参加しお念仏を唱えていたので、ニンブチャー(念仏者)とも呼ばれていました。その京太郎が伝承した念仏歌が地域に残り、エイサーの囃子として歌われ、チョンダラーという道化役として残ったのではないかといわれています。

エイサーを楽しもう!

お盆第2弾エイサーコラム素材②

うちなーんちゅを魅了する勇壮なエイサー。誰もがその迫力に引き込まれますが、今回はちょっと視点を変えた見どころも教えていただきました!

副住職おすすめの注目ポイント

副住職の剛龍さんは、「ニンブチャーが念仏を伝える一つの手段として残した歌が今もこうして受け継がれていると考えると、『チョンダラーさんすごい!』という思いが込み上げます(笑)」と、お坊さんらしい視点でチョンダラーを見てしまうそう。

また、エイサーの歌にも念仏が残っているか歌詞に耳を傾けてみるのも面白いかも。「なむあみだぶち」と聞こえたらそれは念仏です。伝統的な音楽を使っている場合は、歌詞に念仏が含まれている可能性があります。

剛龍さんのように歴史や由来を理解し、念仏踊りとしてエイサーを観賞してみるのもおすすめです!

エイサーを観に行こう

2024年の旧盆は8月16日(金)~ 8月18日(日)にあたり、道ジュネーが各地域で見られます。演舞の日時や練り歩くルートは自治体が広報するので、事前にチェックするといいですね。

マンションに住んでいるなら、ルートによってはバルコニーが特等席になるかも!2、3階なら身近に観ることができるので、外に出ることなく涼みながらゆったりのんびり見学できますよ♪

また、お盆が終わっても沖縄全島エイサーまつり、読谷村青年エイサーまつり、うるま市エイサーまつりなどが次々と開催されるので、夏はエイサーを存分に堪能してください!

まとめ

運動会や自治体で一度は踊ったことのあるうちなーんちゅも多いのではないでしょうか。振り付けを覚えたり音楽に合わせたりと踊ることやカッコよく見せることに一生懸命になってしまいますが、本来は、先祖供養のための念仏踊りという考えもある沖縄のエイサー。踊る人も見る人も、ご先祖様を思いながら楽しめるといいですね!

コチラもご覧ください!
沖縄のお盆、マンション住まいはどうする?

取材・文/仲西なほ子

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