旗頭は地域のシンボル!迫力ある演舞を見に行こう!

旗頭アイキャッチ画像

旗頭は那覇発祥の歴史ある伝統文化。文化継承・子どもの学び・観光振興を目的とし、2023年10月8日に行われた第53回那覇大綱挽において、那覇市が「旗頭のまち」を宣言したほど親しまれています。今回は泉崎旗頭保存会で旗頭の演舞や次世代育成などを担っている當銘剛さんにお話を伺いました。

この方にお話しを伺いました!
當銘さん(旗頭)

 

當銘剛さん

泉崎旗頭保存会 実行委員会

小学生の頃から地元泉崎の旗頭に参加し、社会人になった現在も仕事の合間に泉崎旗頭保存会の実行委員として活動。旗頭をきっかけに沖縄の伝統や文化に興味を持ち、大学では旗頭をテーマに研究した成果を卒業論文にまとめた。伝統文化を承継したいと考え、行事やイベントで演舞を披露するだけでなく、地域の学生への普及や指導なども行っている。

   
泉崎旗頭保存会
公式facebook
https://www.facebook.com/izumizakihatagashira/?locale=ja_JP

公式instagram
https://www.instagram.com/izumi_hata/

旗頭とは

旗頭素材①
画像提供:泉崎旗頭保存会

旗頭とは、各地域にある村のシンボルや守り神のような存在の大きな旗のこと。お祭りや行事の際に村の青年たちが旗頭を持ち上げ、「サーサー、サーサー」という掛け声とともに大きく上下に躍動させてその姿を披露します。

沖縄国際大学で琉球文化を学び、「那覇大綱挽における旗頭の役割及び製作過程〜泉崎旗頭保存会を事例として〜」という卒業論文を書き上げた當銘剛さんに、旗頭の歴史や由来などを教えていただきました。

旗頭の歴史

旗頭は沖縄の伝統行事である綱引きの際に登場し、綱引きの文化とともに那覇市や南部地域に受け継がれています。

綱引きは旧暦の6月〜8月(新暦の7月から9月頃)に各地で行われ、豊作のお礼や豊年をニライカナイから引き寄せるといった意味を持つ農村行事。しかし、那覇大綱挽の由来は他の地域とは異なり、中国から来訪した冊封使(さっぽうし)を歓待するために行われた外交的な催しだったとされています。

現在は県内各地で地域の発展と文化継承の目的で綱引きが行われ、観光客にも人気のイベントとなっています。旗頭も地域の繁栄を願うシンボル・綱引きを応援する旗印として登場し、勇壮な姿で多くの人を魅了しています。

旗頭素材②
画像提供:泉崎旗頭保存会

旗頭のつくり

地域ごとにデザインや形は異なりますが、長さ約6~8m、重さ約50~60kg、天辺にトゥールー(灯籠)が付いているのが共通の特徴です。旗には旗字と呼ばれる文字が入り、トゥールーは花や動物などをモチーフにデザインされています。

泉崎旗頭保存会には現在4種類の旗頭があり、用途別に使い分けているそうです。

総重量が約55kgと泉崎旗頭保存会が所有する中で最も重く、那覇大綱挽などの大舞台に登場するのは「巴(グーヤー)」(写真左)。トゥールーの太鼓部分には一つ巴が描かれ、旗字は「泉」です。

道ジュネーや各イベントで登場する「梯梧(デイゴ)」(写真中央)は、県花である赤いデイゴの花をモチーフにデザインされています。旗字は「泉潤四方」で、泉崎から周囲を潤していくことを意味しています。

このようにトゥールーのデザインや旗字は地域ごとに異なり、それぞれの思いや願いが込められています。

旗頭の演舞

旗頭は、指揮を取る旗指揮(はたしき)と、最初に旗頭を持ち上げるという役割を担う旗方(はたほう)3~4人が中心となり、大勢のメンバーで代わる代わる旗を持ち上げます。一人で持つのは数十秒、素早く持ち手を変えながら高々と持ち上げ、躍らせるように上下に躍動させます。

空を突き上げるように力強く舞う旗頭、それを下で支えて自在に操る青年達の力強い勇姿、「サーサー、サーサー」という掛け声、観客たちの声援など、その場が一体となり大いに盛り上がる行事です。

旗頭はいつ見られる?

旗頭素材③
画像提供:沖縄観光コンベンションビューロー 

旗頭を見たい!と思ったら、次のイベントをぜひチェックしてみてくださいね。地域の旗頭が一堂に集まる迫力たっぷりのお祭りから、身近に見ることができるイベントまで多彩に開催されています。

沖縄三大綱引き

旗頭のメイン行事ともいえるのが、綱引き。中でも与那原・糸満・那覇は「沖縄三大綱引き」といわれています。それぞれ旗頭が登場し、道ジュネーや綱引きの応援などで活躍しています。

与那原大綱曳

旧暦6月26日以降の日曜日に開催され、西(雌綱)は大旗頭「民栄」・小旗頭「実践」、東(雄綱)は大旗頭「國豊」・小旗頭「躍進」が登場します。

旗頭持ちは東西各14名で構成され、二番旗の小旗頭は後継者育成のため一番旗の大旗頭より一回り小さくなっています。東西でのガーエー(士気を高めるために行う揉み合い)が見どころです。

糸満大綱引

旧暦8月15日に開催。大綱引きの前には「ゆがふう」「かりゆし」の旗頭を先頭に1,000人余の市民が参加する「道ズネー」が行われ、約1kmの道のりを舞踊や歌、エイサーなどを披露しながら練り歩きます。

那覇大綱挽

10月のスポーツの日を含む3連休の中日に開催。東一番「大結」、西一番「八掛」を筆頭に、東西7旗ずつ計14旗が那覇大綱挽保存会登録の公式旗頭となっています。

旗頭を中心に東西に分かれて太鼓や銅鑼、ほら貝などを鳴らしながら行進する「うふんなすねーい(大綱挽行列)」は圧巻です。

琉球王朝祭り首里

毎年11月3日の文化の日を中心に開催。首里城復興祭と協同して行われ、王朝時代の儀式を再現した古式行列では首里各地域の旗頭も並びます。

しかし、旗頭の最大の見どころは夜。トゥールーに明かりを灯して一堂に会し、迫力満点のガーエーを行い、地域の人たちを熱狂させます。

その他のイベント

那覇大綱挽が開催される前には、旗頭の道ジュネーを行う地域もあります。泉崎旗頭保存会は那覇大綱挽の告知しながら地域を盛り上げるため、9月の中旬頃から土日に道ジュネーを行います。

また、波上宮の例大祭として行われる「なんみん祭」、旗頭のまち宣言の那覇市が主催する「やる気・元気旗頭フェスタinなは」、その他の各種イベントで旗頭を見ることができます。

旗頭を身近に楽しもう!

旗頭素材④
画像提供:泉崎旗頭保存会

 大きくて重い旗頭を操る姿は迫力満点。その勇ましい姿を見ると近寄りがたいかもしれませんが、意外と皆さん、気さくなんです!もっともっとその魅力に触れ合ってみてはいかがでしょうか?

ここが見どころ

當銘さん曰く、「旗頭は力技ではありません。バランス感覚が重要なので、体の小さな人や女性でも持ち上げることができるのが面白いところ。また、自分の技術だけでなく、旗頭の受け取り方や渡し方も影響します。『あの人はバランス感覚がいいな』『あの人に渡されるとみんな上手に持つな』などという見方をすると、奥深く楽しめるかもしれませんね」とのこと。

また、旗字やトゥールーも見どころの一つ。同じデイゴをモチーフにしていてもデザインが全く違ったりもするので、地域の個性が分かるポイントです。

参加してみよう

綱引きなどの大きな行事で声をかけるのは難しいですが、道ジュネーや小さなイベントなどでは、距離も近いので話しかけても大丈夫だそう!「興味がありそうな人には『触ってみる?持ってみる?』などとこちらから声をかける場合もありますが、積極的に声をかけてもらえると嬉しいですね」と當銘さん。

間近でその大きさを実感したり、触らせてもらって体感したりすると、もっとワクワクドキドキ楽しめます。「自分も旗頭に参加したい」と思ったら、知り合いや地域の団体を訪ねてみましょう。

まとめ

分譲マンションを購入して新しい土地に住んだ場合は、地域色の強い地元の旗頭会には声をかけにくいかもしれません。しかし、「とっつきにくいイメージはあるかもしれませんが、みんな優しい方々です。多くの人に興味を持ってもらう、関わってもらうことが次世代につながるので、ぜひ気軽に声をかけてください!」と、大歓迎だそう。

また、最近では地域にこだわらず参加することも可能なので、知り合いのいる団体に加入させてもらうのもOK。参加しやすそうな団体に声をかけ、親子で体験してみてはいかがでしょうか?

 

取材・文/仲西なほ子

Related Posts 関連記事