10月17日は沖縄そばの日。タイラ製麺所が届ける、いつもの一杯と新しいおいしさ

お昼ご飯に。家族で出かけた休日に。

沖縄で暮らしていると、何気ない日常の中に沖縄そばがあります。

お気に入りのお店の味。おばぁが作ってくれた懐かしい味。家族それぞれに好きな一杯があって、ふと食べたくなるのも沖縄そばの不思議な魅力です。

そんな身近な食文化を、少し違った角度から見つめてみませんか?

 

10月17日は「沖縄そばの日」。

 

今回は、沖縄そばの「麺」にこだわり、新しいおいしさを追求するタイラ製麺所にお話を伺いました。

知っているようで意外と知らない麺づくりのこと。家庭で楽しめる新しい食べ方。そして、これからの沖縄そばに込める想い。

 

いつもの一杯が、ちょっと違って見えてくるかもしれません。

 

この方にお話しを伺いました!

 

平良 司さん
タイラ製麺所株式会社 代表取締役

  

那覇市の国際通り、ゆいレール牧志駅から徒歩約1分の場所にある「タイラ製麺所」。
沖縄そばの主役である「麺」にこだわり、昔ながらのおいしさを大切にしながら、新しい沖縄そばの可能性を追求しています。

 

飲食店経営で培った経験をもとに、小麦粉の配合や加水率、麺の太さ、食感などを研究。モチモチとした食感が特徴の生麺をはじめ、沖縄の素材を生かした麺づくりにも取り組んでいます。

 

自社で飲食店を運営し、お客様の声を麺づくりに反映するほか、飲食店への卸販売や沖縄そば作り体験などを通して、沖縄そばの新たな魅力を発信しています。

 

今回は、代表の平良さんに、沖縄そばへの想いを伺いました。

沖縄そばは、沖縄そのもの。暮らしの中にある一杯

 

 

 

沖縄そばと聞いて、どんな風景を思い浮かべますか?

家族で囲む食卓。お昼時に立ち寄る馴染みのそば屋さん。湯気の向こうに広がる、だしの香り。

沖縄で生まれ育った人にとって、沖縄そばは特別な日のごちそうというより、日々の暮らしに自然と溶け込んでいる食べ物なのかもしれません。

 

「沖縄で育った僕にとって、沖縄そばは生活の中に当たり前にある食べ物でした。お昼ご飯に食べたり、家族でそば屋さんに行ったり。今考えると、その当たり前こそが沖縄そばの魅力だと思います」

 

そう語るのは、タイラ製麺所の平良さん。

 

沖縄そばは当たり前にある身近な存在。けれどその一杯には、ほかの料理にはない特別な感覚があるといいます。

 

「沖縄そばは、沖縄そのものです。食べるとなんとなく落ち着くし、県外から帰ってきた時に食べると、帰ってきたなと感じるんです」

 

旅先から帰ってきた時、無性に沖縄そばが食べたくなる。そんな経験がある方も多いのではないでしょうか。

慣れ親しんだ味が、いつもの暮らしへと気持ちを戻してくれる。

沖縄そばは、お腹を満たすだけでなく、私たちの心にも寄り添ってくれる存在なのかもしれません。

そばの主役は、やっぱり麺。タイラ製麺所の挑戦

 

 

 

沖縄そばのおいしさを語る時、だしの味や三枚肉、ソーキなどの具材に注目することは多いもの。

 

けれど、タイラ製麺所が何より大切にしているのは「麺」です。

 

もともと飲食店を経営していた平良さんは、料理を提供する中で、食材そのものが持つ力を実感するようになったといいます。

 

「スープやお肉にこだわるお店はたくさんありますが、僕はもっと麺にこだわった沖縄そばを作りたいと思ったんです。そばの主役は、やっぱり麺だと思っています」

 

おいしい麺があれば、シンプルな食べ方でも十分に満足できる。

 

その考えが、タイラ製麺所を始めるきっかけになりました。

 

ただし、おいしい麺を作ることと、おいしい麺を作り続けることは、少し違います。

 

「理想の麺ができたと思っても、それを毎日同じ品質で作り続けることが大変なんです。配合や水分、製造環境によっても仕上がりが変わりますから」

 

小麦粉の配合、加水率、麺の太さ、食感。わずかな違いが、口にした時のおいしさを左右します。さらに製麺所には、飲食店での使いやすさや、家庭でのおいしさ、安定した品質も求められます。

そうした試行錯誤の先にあるのが、お客様からの「おいしい」という言葉。

 

「卸し先の飲食店さんから『お客様に評判がいいよ』と言ってもらえるのが、一番嬉しいですね」

 

自分たちのお店だけでなく、麺を届けた先のお店でも、誰かがおいしいと笑顔になる。

 

一杯の沖縄そばを支える製麺所の仕事には、そんな喜びが詰まっています。

知っているようで知らない、沖縄そばの麺の世界

 

 

 

普段何気なく食べている沖縄そば。その麺がどのように作られているのか、考えたことはありますか?

基本となるのは、小麦粉に水や塩、かんすいなどを加えて練り、生地を熟成させ、薄く延ばして切り出す工程。一見シンプルですが、小麦粉の配合や水分量、熟成の仕方によって、食感は大きく変わるそうです。

 

「沖縄そばには昔ながらの茹で麺もありますし、僕たちが力を入れている生麺もあります。同じ沖縄そばでも、製法によって全然違うんです」

 

タイラ製麺所が手がける生麺の特徴は、モチモチとした食感と、ツルッとした喉越し。そして、噛むほどに感じられる小麦の風味です。

 

昔ながらの沖縄そばに親しんできた人にとっては、新鮮な驚きがあるかもしれません。

 

さらに、麺の太さや形状によっても、楽しみ方は変わります。

細い麺はスープと絡みやすく、すすり心地がよい。太い麺は小麦の風味や食べ応えを感じやすく、平麺や縮れ麺にも、それぞれ違った魅力があります。

 

「沖縄そばには、正解が一つしかないとは思っていません。お店によってスープも違いますし、それに合う麺も違います。だからこそ、いろんな沖縄そばを食べ比べてほしいですね」

 

さらにタイラ製麺所では、アーサやもずくといった沖縄ならではの食材を練り込んだ麺づくりにも取り組んでいます。

 

素材の香りや色、食感を楽しむ、新しい沖縄そば。

 

いつもはスープや具材に目が向きがちですが、次に沖縄そばを食べる時は、ぜひ麺にも注目してみてください。

その一口に、これまで気づかなかったおいしさが隠れているかもしれません。

いつもの沖縄そばを、もっと自由に楽しもう

 

 

沖縄そばといえば、温かいスープに麺を入れ、三枚肉やソーキ、かまぼこ、ねぎなどをのせた一杯が定番です。

 

でも、沖縄そばの楽しみ方は、それだけではありません。

 

「僕のおすすめは、釜玉沖縄そばです。生麺を茹でて、卵をのせて、醤油やだし醤油をかけるだけ。すごくシンプルなんですが、麺そのもののおいしさが分かるんです」

 

スープを準備したり、お肉を煮込んだりする時間がなくても、手軽に楽しめる釜玉沖縄そば。

 

忙しい朝や、さっと食事を済ませたいお昼にもぴったりです。

 

作り方はとても簡単。

 

生麺を商品の表示に従って茹で、器に盛ったら、卵と醤油やだし醤油を加えて混ぜるだけ。お好みでねぎや刻み海苔を添えてもよさそうです。

 

さらに明太子やチーズを加えたり、もずくや海ぶどうをのせたりと、アレンジも自由自在。

 

「沖縄そばは、必ず温かいスープで食べなければいけないものではないと思っています。冷たいそばや、まぜそばにしてもおいしい。もっと自由な発想で楽しんでほしいですね」

家庭でおいしく食べるためには、麺の種類に合わせた調理も大切です。

特に生麺は茹で時間が重要。茹ですぎると、せっかくの食感が失われてしまいます。また、スープで食べる場合は、麺を茹でるお湯とスープを別にすることで、スープ本来の味を楽しめるそうです。

 

スーパーで麺を選ぶ時も、茹で麺なのか生麺なのか、太さや形状はどう違うのか、少し意識してみると面白そうです。

 

「いろいろ買って食べ比べてみると、自分の好みが分かって面白いと思います」

 

家族それぞれが好きな麺を選んで、同じスープで食べ比べてみる。そんな楽しみ方もできそうですね。

昔ながらの味を大切にしながら、今の暮らしに合わせて自由に楽しむ。

沖縄そばは、私たちが思っている以上に、懐の深い食べ物なのかもしれません。

こねて、延ばして、食べて。親子で楽しむ沖縄そば作り

 

 

沖縄そばをもっと好きになる方法。それは、食べるだけでなく、自分で作ってみることかもしれません。

 

タイラ製麺所では、沖縄そば作り体験も行っています。

 

小麦粉から生地を作り、こねて、延ばして、切って、麺にしていく。

 

普段はお店やスーパーで出来上がった麺を目にすることが多いからこそ、その工程は子どもたちにとって新鮮な発見になりそうです。

 

「ぜひ、子どもたちに麺づくりを体験してほしいですね。自分で作ったものって、おいしく感じませんか?」

 

最初はただの小麦粉だったものが、少しずつ生地になり、やがて見慣れた沖縄そばの麺になる。自分の手で作った麺を、自分で食べる。そこには、普段の食事とは違う喜びがあります。

 

「沖縄そばは、ただ食べるだけのものじゃなく、沖縄の文化なんだということを伝えたいです」

 

沖縄そばを食べたことはあっても、麺がどのように作られているのかは知らない。そんな子どもたちも少なくないでしょう。

けれど、一度でも自分で作った経験があれば、次に沖縄そばを食べる時の気持ちが少し変わるかもしれません。

 

「その経験が思い出になって、大人になっても沖縄そばを好きでいてくれたら嬉しいですね」

 

家族で一緒に何かを作り、一緒に食べる。

その時間は、料理のおいしさだけでなく、家族の思い出としても残っていくもの。

いつか大人になった子どもたちが沖縄そばを食べた時、家族で麺をこねた日のことを思い出す。

そんな未来を想像すると、いつもの一杯が少し愛おしく感じられます。

変わらないおいしさと、変わっていく楽しさを未来へ

 

 

沖縄そばの歴史や文化を大切にすること。

そして、新しいおいしさを生み出していくこと。

一見すると違う方向を向いているようですが、平良さんは、その二つは決して矛盾しないと考えています。

 

「僕が残したいのは、沖縄そばが生活の中に当たり前にある文化です。子どもからお年寄りまで、みんなが気軽に食べられて、どこかホッとする。その良さは、これからもずっと残していきたいですね」

 

その一方で、沖縄そばはもっと進化してもいいとも語ります。生麺を使った釜玉そばやまぜそば。沖縄の食材を練り込んだ麺。これまでとは違う食べ方が増えることで、沖縄そばに親しむ人も増えていく。

 

「伝統を守ることと、新しい沖縄そばを作ることは、矛盾しないと思うんです」

 

タイラ製麺所では、県外への店舗展開も進めながら、沖縄そばのおいしさをより多くの人に届けようとしています。

 

「沖縄そばを食べる人が増えれば、沖縄そばを作る人も増える。そうやって文化が次の世代につながっていけばいいなと思っています」

 

文化を守るというと、昔からの形を変えずに残すことを思い浮かべがちです。

けれど、暮らしが変われば、食べ方も変わる。

大切なのは、形を変えないことだけではなく、これからも食べたいと思える存在であり続けることなのかもしれません。

 

10月17日は「沖縄そばの日」。

 

「いつものお気に入りのお店でもいいし、行ったことのないお店でもいい。家庭で作って食べるのもいいと思います。ぜひ家族や友人と、いろんな沖縄そばを楽しんでほしいですね」

 

いつものそば屋さんに行ってみる。

スーパーで、まだ食べたことのない麺を選んでみる。

休日に子どもと一緒に、沖縄そばを作ってみる。

特別なことをしなくても、いつもの暮らしの中で、沖縄そばの新しい魅力に出会えるはずです。

 

「沖縄そばを、もっとおいしく、もっと楽しく、もっと身近に」

 

タイラ製麺所が目指すのは、そんな沖縄そばの未来。

今日のお昼は、沖縄そばにしようかな。

そんな何気ないひと言が、これからも沖縄の家庭で交わされ続けますように。

 

店舗情報

 

沖縄そば作り体験&食事処 タイラ製麺所

住所:〒900-0013 沖縄県那覇市牧志2丁目7-24 地下1階

アクセス:ゆいレール「牧志駅」から徒歩約1分

営業時間:10:00〜23:30

定休日:年中無休

電話番号:098-868-6250

公式サイト:https://tairaseimen.com/

沖縄そば作り体験:詳細・予約方法は公式サイトをご確認ください。

※営業時間・定休日などは変更になる場合があります。

ご来店前に公式サイト等でご確認ください。

 

取材・文/新垣 隆磨

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