電気代値上げ対策!省エネ6つのポイント

2023年6月、国内の大手電力会社7社が電気料金を値上げしました。沖縄電力は、平均的な家庭で約33.3%の値上げ幅と公表しています。現在は国や県の負担軽減策により実質2.1%増程度に抑えられていますが、これは9月までの限定措置。10月以降の支援は未定なので、いずれは電気代が33.3%増加することになります。跳ね上がる電気代の負担を軽減するため、本格的に節電や省エネに取り組んでみてはいかがでしょうか?先月の記事、【住まいのカビ対策10選!沖縄は年中カビやすい?】でお話を伺った、一級建築士で沖縄の気候風土にあった省エネ住宅の研究・普及活動を行っている松田まり子さんに、今回は省エネ対策について教えていただきました。

この方にお話しを伺いました!
松田まり子さん

 

松田まり子さん

松田まり子建築設計事務所代表/一級建築士

 

那覇市出身。2000年に東京都市大学(前:武蔵工業大学)工学部建築学科を卒業後、沖縄と東京で建築設計を学ぶ。2010年、沖縄の気候風土に適応した住まいづくりを研究する「NPO蒸暑地域住まいの研究会」理事長に就任。戸建て住宅の設計やリノベーション、マンションやタウンハウスの企画の他、ホテル、別荘、美術館のプロジェクトなど幅広く手掛ける一方、「蒸暑地域における湿害についてー沖縄における気候、室内温湿度、住まい、住まい方の分析ー」などのいくつもの研究発表も評価されている。

3大エネルギーの省エネ対策

「省エネ対策はOK」のサインを出している女性のイメージ

住宅における省エネは、夏や冬に多く使用する冷暖房機器、一年を通して使用している給湯照明、この3つのエネルギーを削減することが重要となります。それぞれに適した方法でエネルギーの無駄遣いをなくしましょう。

冷暖房エネルギー

冷房は熱中症の心配もあるので使用を控えるのではなく、効率よく使用することが大切です。例えばリビングダイニングなど広い空間にエアコンを設置する場合は、20畳用のエアコン一台よりも10畳用のエアコンを二台設置し、必要に応じて使い分ける方が電気代を節約できます。

また、日中留守にする時は出かける前にしっかりカーテンを閉め日差しが入らないようにすると、夕方帰宅しても室内がそこまで上がっていないので冷房の消費電力を節約することができます。エアコンの設定温度は28℃、こまめなオン・オフは避ける、なども節電につながりますが、種類によって特性が異なるので製品の特徴を把握し上手に使いこなしましょう。

沖縄の一般的なRC造や吹抜け・高天井のある住宅で冬に暖房を使用する場合は、部屋全体を暖めるのではなく人を温める局所暖房がおすすめです。例えば、ハロゲンヒーターで人がいる場所だけを暖めたり、こたつやホットカーペット、電気毛布などで人の肌を温める方が無駄なく暖房の効果を感じられます。ただし、ハロゲンヒーターは暖房エアコンの倍以上電気代がかかるので、短時間では有効ですが30分以上使う場合は、注意が必要です。

給湯エネルギー

シャワー2分とテレビ2時間は同等のエネルギー量といわれるほどお風呂の給湯はエネルギー消費量が高く、さらに家族が毎日別々に使用するので1日でかなりのエネルギー量を消費しています。

シャワーは1人10分以内などと時間を設定したり、出しっ放しにせずこまめにシャワーを止めたりなど、まずはお風呂の入り方を見直してみましょう。設定温度も必要以上に高くするとより多くのエネルギーが必要になるため、夏は低めで冬は高めなど季節で設定温度を変えるだけでも省エネになります。

照明エネルギー

照明もエアコン同様、広い空間に大きな照明器具を一つ設置するのではなく分散して設置するのがおすすめです。食事中はダイニングキッチンの照明を点けて食後はリビングの照明に切り替えるなど、広い空間全体を照らすのではなく作業する場所をスポットで明るくするようにすると、照明エネルギーも節約できます。

また、発熱を抑えながら効率良く発光させることが可能なLED照明、昼と夜で明るさの調節ができる調光照明、消し忘れを防ぐ人感センサーなどを利用すると、消費電力はかなり削減されます。

省エネしながら快適に暮らす3つの工夫

自然環境を上手に活用しているリビングのイメージ

毎日の生活でちょっとした工夫をすることも大切。自然の摂理に従い自然環境を上手に活用することで、地球にやさしいだけでなく家族も快適&健康的に過ごせます。我慢や無理をするのではなく、省エネ暮らしを賢く楽しめるといいですね!

自然エネルギーを利用する

太陽の光や熱は季節や時間帯に応じて上手に取り込み活用しましょう。例えば、朝日や西日の熱を利用して洗濯物を乾かす、昼間家に居るときは照明に頼らず太陽光を取り入れるなどの活用ができます。

熱は避け明るさだけが欲しい場合は、太陽光を拡散させて取り込むとよいでしょう。ルーバー(細長い羽板を平行に並べたもの)やブラインドは、角度を調節することで室内に入る光の量をコントロールできるので、熱や眩しさを抑えつつ部屋が明るくなります。

また、季節によって光や風の入り方も変わってくるので家の中で心地よいポイントを探すのもおすすめです。「春や秋はリビングに入る風が気持ちいい」「冬は寝室に入る日差しが暖かい」など、季節ごとにお気に入りスポットを決めてそこで寛げば、冷暖房に頼らず快適に過ごせます。

ぜひ、太陽や風などの自然エネルギーを生活に取り入れる工夫をしてみてください。

体感温度を下げる

サーモグラフで見る室内環境イメージ

画像提供:松田まり子建築設計事務所

夏の冷房エネルギーを節約したいなら、家の中で発生する熱と体感温度にも注目してみましょう。体感温度は室温だけでなく表面温度が関係しています。表面温度とは、家電が発する熱、壁や天井の温度のことです。

体感温度=室温+表面温度÷2
といわれています。室温が25℃でも壁の温度が35℃の場合は

25(室温)+35(表面温度)÷2=30(体感温度)
となり、30℃の部屋にいるのと同じぐらいに感じてしまうのです。

夏に壁や天井の表面温度が上がってしまうのは避けられませんが、家電の表面温度は工夫することができます。特に気を付けたいのが大型テレビ。サーモカメラで見ると窓からの日差しや人の体温と同じぐらい熱を発していることが分かります。テレビを点けっ放しにしないことはもちろんですが、消した後に布を一枚かけると放熱を防ぐことができます。

また、キッチンでお湯を沸かしたり料理をするときも、熱や水蒸気がリビングに行かないよう窓や換気扇を利用して熱を外に逃がしましょう。

夏は家の中の表面温度や熱の行方を意識することで、エアコンの消費電力を下げることが可能です。

季節ごとに模様替えをする

前回の【住まいのカビ対策10選!沖縄は年中カビやすい?】
の記事でも紹介しましたが、模様替えはカビ対策だけでなく省エネにも効果的です。

特に季節ごとに太陽光や風の入り方などを考慮した模様替えは省エネにつながります。例えば、夏は家具で日差しを遮る、冬は日差しを入れるために家具の位置を変える、という工夫をすれば、冷暖房エネルギーを節約するだけでなく自然の恵みを活かした心地よい暮らしになります。

家具の配置だけでなく、遮熱効果の高い夏用のカーテンから保温効果の高い冬用のカーテンに変えたり、冬はフローリングにラグやカーペットを敷いたりと、季節に合わせてインテリアやファブリック変えるのも効果的です。

模様替えは省エネや防カビ対策だけでなく、季節を感じ暮らしが豊かになるのでおすすめです!

暮らし方をチェック!相談してみよう

模型で俯瞰して見るお部屋のイメージ

画像提供:松田まり子建築設計事務所

より快適に効率よくエネルギーを節約できる暮らし方をプロにアドバイスしてもらうのもおすすめです。

松田まり子建築設計事務所に相談すると、松田さんがサーモカメラ片手に住まいをチェックしてくれます!室内や外壁の表面温度を測り、住まいや家族のライフスタイルに合わせた省エネな暮らし方を提案してくれます。

我慢を続けるのではなく、快適に賢く省エネする暮らしが理想的。ぜひこの機会に、家族と地球にやさしい暮らし方を考えてみてください!

 

取材・文/仲西なほ子

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