管理会社に聞きました② 分譲マンションの住み方とは?

住宅購入を考える夫婦

分譲マンションに住むとお世話になる管理会社。前回の【管理会社に聞きました① 分譲マンションを買う前に… 】に引き続き今回も、沖縄県内で多くのマンションを管理している株式会社ナイスマネジメントの代表取締役の永島さんにお話を伺いました。
前回は、管理会社の視点で見たマンションを買う前に知ってほしいことでしたが、今回は住み始めてからの注意点です。こちらも購入前に認識していると「思っていたのと違う…」ということを避けられますよ!

こちらの記事もご参考ください!
【管理会社に聞きました① 分譲マンションを買う前に… 】

この方にお話しを伺いました!
ナイスマネジメント

 

永島達也 さん

株式会社ナイスマネジメント 代表取締役

 

マンションに関わるすべての管理運営をトータルにサポートする、沖縄のマンション管理会社。国土交通省への登録業者として不可欠な国家資格者である「管理業務主任者」の他、「マンション管理士」「宅地建物取引士」などの国家資格者を有し、専門的な知識と幅広い観点からマンションの適正な維持管理と円滑な管理組合運営のサポートを行っている。

 

HP:https://nais-m.com/

沖縄の分譲マンションで多いトラブルとは?

ゴミ出しする女性

マンションの管理会社に寄せられる問い合わせは、共有設備の故障や不具合、共有スペースの使い方に関するものが中心ですが、今回は沖縄という土地柄特有の内容をご紹介します。

台風時にまつわるトラブル

台風の前後、管理会社は大忙しです。「飛来物で設備が破損した」「ベランダの排水溝が詰まって屋内まで浸水している」などの連絡は台風のたびにあるそうです。

停電や断水になった場合、「いつ頃復旧するのか?」などの問い合わせもあるそうですが、残念ながらこれらは電力会社や水道局が関わることなので管理会社では対応することができません。

台風の被害については、台風が去った後に順次対応という形になります。暴風域の間は管理会社もすぐに駆け付けることはできないので、出来る限りのことは事前に対策しておくことがおすすめです。特に次の2点は重要です!

ベランダの片付け、掃除

ベランダに置いている物は室内に移動するか強風で飛ばされないようにしっかり固定し、大雨で排水溝が詰まらないように掃除をしておきましょう。これらの対策を怠ると、ベランダの物でガラスが割れたり、屋内浸水などの被害が出てしまいます。

また、物が外に飛んで他人の車を破損したり、溢れた水が階下に漏水するなど他人に迷惑をかけてしまうことがあります。この場合は管理組合や管理会社では対応できず、基本的に個人同士で賠償問題を話し合うことになるので要注意です。

トイレの停電対策

ウォシュレットや節水タイプのトイレは水を流すのに電力を使用している場合があり、停電すると水が流せなくなってしまいます。大型台風の場合は数日間電気が復旧しない場合もあるので、トイレが流せないのは大問題です。

どのメーカーも停電時の水の流し方を取扱説明書に記載しているので、事前に確認しておきましょう。

ゴミ出しにまつわるトラブル

分譲マンションを購入して賃貸に出すオーナーさんもいるので、居住者に外国人がいる場合もあります。日本ではゴミを分別するのは当たり前のこととして浸透していますが、ゴミの出し方は国によって異なるので、外国人にとっては当たり前のことではないのです。

沖縄には米軍人や就労外国人、留学生がたくさん住んでいますが、彼らの中には日本語が読めない、ゴミの分別が習慣化していない人もいるので、ゴミ出しのルールに反してしまうこともあります。悪気があるわけではないので、管理会社と相談してマンション内に外国語のゴミの出し方の案内を貼ったり気付いたら教えてあげるなど、理解してもらうように協力し合うことをおすすめします。

管理組合とはどんな存在?

会議の様子

管理組合は、マンションを管理するための自主管理組織です。快適な共同生活を送るためにさまざまな決まり事を作り、安全に暮らすために定期メンテナンスを行い、資産価値を守るために修繕計画などを立てなければなりません。

しかし実際にその全てを居住者である組合員のみで行うのは難しいため、管理会社に委託することになります。決まり事や修繕計画は管理組合が決め、その実施を管理会社が代行するという形です。

管理組合は役員や理事が代表となり、運営を取りまとめます。総会を開き、修繕積立金の使い方や規則の改定などについて話し合い決定をするのですが、総会は区分所有法で年1回以上の開催が義務付けられており、原則として区分所有者は全員参加しなければいけません。

マンション購入を検討している人の中には、「マンションは維持管理を管理会社が行うから楽で安心」「管理費を払っているから、すべて管理会社にお任せできる」と思っている人も多いですが、管理の主体は管理組合です。共同生活のルールや維持管理、修繕に関する大切なことは組合の一員として、所有者全員で話し合い、方針を決める必要があります。

管理会社については前回の【管理会社に聞きました① 分譲マンションを買う前に… 】もご参考ください。

役員は交代制

管理組合の役員は1~2年任期の交代制で、役員の任命も総会で行われます。立候補や推薦で選ぶ場合もありますが、区分所有者全員で順番に担当する持ち回り制にしているケースが多いでしょう。

役員は、組合の代表者となる理事長、理事長補佐を行う副理事長、会計を担当する会計担当理事など3~4名で役割を担います。役員になると、月に1回または2カ月に1回程度理事会を開催し、管理会社から報告を受けたり、組合員から挙げられている問題や今後の方針について話し合います。重要事項については総会を開き、組合員の意思を確認して全員で決議することになります。

総会は必ず出なければいけない?

一般的に総会は、区分所有者の半数以上の出席がないと開催できないとされていますが、全員の都合に合わせた日時を設定するのは難しいものです。どうしても参加できない場合は、妻や夫が代理人となって参加したり委任状など書面の提出が必要となります。賃貸に出している場合は、入居している住人ではなく区分所有者に参加義務があります。

総会は最高意思決定機関とされているので議決権総数の半数以上の出席で成立し、さまざまな議案は出席組合員の過半数の同意で決定します。総会に参加しないと決議できないことがあり、迷惑をかけることになります。

大切な自分の財産であり多くの人と共有する財産なので、区分所有者には責任があります。また、マンションは建物だけでなく住み心地も大切な価値となります。区分所有者のひとりとして、管理組合や総会に参加することで、快適に暮らすという価値を守ることができます。

トラブルを避けるための3つのポイント

マンションの模型を持つ人

管理組合や管理会社でルールを決めたり管理をしても、多くの人が共同生活をする場所なので、暮らし方の違いや価値観の違いで、どうしても小さなトラブルは発生してしまうことがあります。トラブルを避けて快適に暮らすため、管理会社がプロの視点でおすすめするポイントをぜひ心掛けてみてください!

クレームじゃなくて提案しよう

「共有スペースの使い方にマナーがない」「専有スペースからはみ出て物を置いている」「ルールを守っていない」など、日々の生活で気になる点がいろいろ出てくるはずです。

管理組合や管理会社に「ルールを守っていない人がいる」「●●はやめて欲しい」などと、不満だけを報告するとクレームになってしまいますが、「ルールが守れていないから、少し変えた方がいいのか?」「●●について、他の住民はどう思っているのか?」など、どうしたらお互いが暮らしやすくなるのか一緒に考えるスタンスで問題提起をすると、前向きに進み、マンション全体の雰囲気も良くなります。

管理組合に参加しよう

総会に参加すると、多くの人の意見を聞いたり自分の意見を伝えることで、居住者同士で考え方や価値観を共有することができます。また、マンション管理の全体像が見え、運営の課題なども分かるので、積極的に役員になるのもおすすめです。

「知らない人たちが何を考えて暮らしているか分からない」という状態だと、少しの価値観の違いでも「イヤだ」「怖い」という感情になってしまいますが、住民同士で理解し合うと大きなトラブルになる前に話し合いや相談で解決しやすくなります。

当事者意識を持とう

マンション管理は管理組合と管理会社が行うものと思っている人が多いですが、区分所有者は当事者です。困りごとに対しても「どうにかしてください」と丸投げではなく、区分所有者としてどうするべきか方向性を考えることが大切です。

一人ひとりが当事者意識を持つことで、マンションは快適な住まいになります!

まとめ

マンション管理のプロが教える分譲マンションの快適な住み方、いかがでしたでしょうか?「組合や当事者意識とか、意外と面倒くさいな」と思ってしまったかもしれませんが、マンションの快適さや利便性を保つためには大切なことです。資産価値を守るため、ぜひ参考にしてみてください!

 

取材・文/仲西なほ子

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