急な留守にどうしよう?大切なペットの預かり問題
人とペットの関係が変化しつつある昨今、ペット=動物ではなく、家族の一員として迎え入れる人が増えてきました。ペットを飼うということは、大事な命を預かるということ。ペットの体調不良の際は急に仕事を休まなければならなかったり、自分の予定よりもペットの都合を優先しなければならなかったり、更には長時間家を空けることも難しくなります。
それでもやはり長期の休みには、どこか遠くに旅行に行きたくなりますよね?
そんな時に利用したいのが、ペット預かりサービスです。沖縄県最大級のペットショップ「PET BOX Animal Station NAHA」の金城翔平さんに、ペットの預かりサービスについてお話を伺ってきました。
金城翔平さん
PET BOX Animal Station NAHA
(ペットボックス アニマル ステーション ナハ) 店長
子どもの頃から犬や熱帯魚を飼っていたことからPET BOXには長年お客さんとして通っていた金城さん。「いつか動物に関わる仕事がしたい」と、高校卒業後は動物の専門学校に進学。卒業後19歳でPET BOXに入社したものの「お客様からペットの病気に関する相談を受けることも多く、もっと勉強がしたい」と22歳の時に退職。動物病院に3年間勤務し、その後再びPET BOXに入社。現在店長2年目。
■PET BOX Animal Station NAHA(ペットボックス アニマル ステーション ナハ)
住所/沖縄県那覇市おもろまち3-5-11
営業時間/平日・土日祝日10:00~19:00
HP:https://www.petbox.co.jp/
PET BOX Animal Station NAHAの紹介
「人もペットもハッピーに!」をモットーに、ペット用品の販売だけでなく、ペットホテルやトリミング、ドッグランなどのサービスを展開するPET BOX Animal Station NAHA。保護犬猫活動にも積極的に携わり、動物に関する様々な情報を発信しています。
ペットショップの規模としては沖縄県内最大級。那覇と北谷に店舗を構え、ペット全般のしつけや飼育相談も受けつけています。
もともとは犬や猫の販売を行っていましたが、2022年からは店頭での生体販売を中止し、沖縄県内の犬猫殺処分数を減らす方向に大きく舵を切りました。売上が減ることを覚悟の上での、大きな決断だったようです。
現在も生体の販売は行なっていませんが、ペットフードやおもちゃ、首輪、リード、ウェア、サプリメント、ケア用品、雑貨など、犬・猫・小動物の他にも熱帯魚や爬虫類など全ジャンルの商品を取り揃え、アイテム数は県内一。敷地内には犬・猫・小動物に関する商品を販売する店舗の他に、熱帯魚と爬虫類を販売する「OKINAWA BIANCO(オキナワビアンコ)」も構えます。
ペットホテルの年間利用者数
県内には犬のトリミングサロン兼ペットホテルが個人店も含めると30〜40件あるといわれていますが、PET BOX Animal Station NAHAの年間利用者(犬)数は3,000頭ほど。最も多いケースはわんちゃんの1〜2泊利用ですが、8月(夏休み)や年末年始、大型連休には家族で県外へ出る人も多く、これらのホリデーシーズンには1週間ほど利用する人も多いそうです。
PET BOX Animal Station NAHAでは、環境の変化によるストレスで体調を崩すことの多い鳥類以外(犬・猫・小動物)の預かりが可能です。
ペットホテルの預かりから引き渡しまで
実際にペットホテルの利用を希望される場合は、基本的に予約をしましょう。
空きがある場合は当日の飛び込みも可能です。しかし混み合うシーズンも多く予約が埋まってしまうこともあるため、スケジュールが決まり次第早めに予約をすることをおすすめします。
数多くのペットが集まるため、犬・猫に関しては、生後4ヶ月以上のワクチン接種済みの健康なペットのみの利用になります。10歳以上の高齢になる犬・猫は預かることができないケースもあるので、まずは問い合わせてみてください。
受付は、トリミングのカウンターで行います。日頃の状況や気になる点などのヒアリングを行い、受付が完了します。
他店の違い(こだわりのサービスなど)
PET BOX Animal Station NAHA では基本的にケージでの預かりになりますが、2階には大きめの個室(放し飼いできるスペース)も確保しています。追加料金にはなりますが、大型犬やケージに慣れていない子は利用を検討してみるのも良いかもしれません。
日頃から飼い主さんに気を付けてほしいこと
最近は勉強不足の“ペット初心者さん”も多く、飼い主さん同士のトラブルになることも珍しくありません。その理由のひとつが、ペットを飼う人が増え、迎え入れることのハードルが低くなっていること。犬・猫の病気・怪我の予防など日頃から気をつける必要があります。
「人に危害を加えたり、鳴き声などで近隣に迷惑をかけることのないようにしつけをきちんとしましょう。お散歩の時は必ずリードをつけ、フンやオシッコの後始末も忘れずに。そして、犬の咄嗟の行動にも対応できるよう“歩きスマホ”も止めましょう。飼い主として最低限のマナーは守れるようにしたいですね」と金城店長。
また、本土に比べてワクチンの接種率が低く、避妊・去勢手術の実施率が低い沖縄県。もちろんメリットとデメリットがありますが、発情行動による体調不良や望まない妊娠・出産、繁殖を防ぐためには大切なことです。ワクチンは将来かかってしまう可能性のある病気を未然に予防することも可能なので、飼い主さんは日々、情報収集を怠らないようにしたいですね。
PET BOX Animal Station NAHAでは「沖縄のペット飼育環境のレベル向上」を目指し、このような治療に関する相談も受け付けています。
今後の取り組み
動物の愛護団体と繋がりが強いPET BOX Animal Station NAHAでは、定期的に保護犬・保護猫の譲渡会を開催しています。生体販売を中止したことで、生体販売による売り上げや利益はゼロになったものの、保護犬・保護猫を迎え入れた後のアフターフォローやトリミング、ペットホテルなどのサポート体制をさらに整え、今後は更にペット用品の販売も強化していく予定です。
わんちゃん・猫ちゃんを自宅でお留守番させる場合のおすすめアイテム
ペットホテルに預けることで大きなストレスを抱えてしまう場合、1〜2泊の場合は自宅で留守番させることも可能です。外泊がそれ以上になる場合は、やはりペットホテルかペットシッターさんに依頼する必要があります。最近は旅行中のお留守番対策アイテムも充実しているので、この機会に検討してみてはいかがでしょうか。
お留守番の日に備えて、まずは数時間から徐々に慣れさせる訓練をしてみてくださいね。
自動給餌器
あらかじめ設定した時間に、必要な分量のごはんが出てきます。ウェットフードは腐食しやすいため、セットするごはんはドライフードがおすすめ。最近はペットを見守るカメラ機能付きのものや、外出先からスマートフォンで操作することが可能なものもあります。
自動給水器
自動で水を補充してくれる自動給水器。自動循環タイプは水を清潔な状態で保つことができます。
エアコンの遠隔操作
室内が暑くなる夏場は、エアコンをつけっぱなしにして出かける必要があります。停電や突然の故障で留守番中のペットが熱中症になってしまったケースもあるので、スマートフォンにアプリを登録することで外出先からでも室温が確認でき、操作が可能なエアコンを導入することも検討してみてはいかがでしょうか。
そして家を空けている間、エアコンのリモコンはペットの手の届かない場所に置いておくことも忘れないようにしましょう。
これらのアイテムは旅行以外の急な用事や緊急時にも役立つので、事前にしっかりと準備をし、使用する日に備えて徐々に慣らしていくようにしたいですね。
そして、万が一の場合に備えて、周囲に頼れる人を見つけておくことも大切です。
わんちゃんがストレスを感じずにお留守番できるのは8時間以内、猫ちゃんの場合は14時間ほどと言われています。お留守番中の寂しさやストレスを緩和させてくれるおもちゃやグッズを用意し、何かあった際に駆けつけてくれる近所の友人やサポートをしてくれる人を見つけておくことも必要です。
まとめ
普段から、人との繋がりやコミュニティを大切にし、ご近所の方たちとも何かあったときはお互いに助けを求められる関係性を作れるようにしておくことも大事です。最近は「ペット可物件」も増えましたが、全世帯がペットを飼っているわけではありません。中にはペットが苦手な方や、理解のない方も。日頃からご近所さんとのコミュニケーションを大切にし、共有スペースでは他の住民に迷惑がかからないようにするなど、お互いが気持ちよく生活できるようにしたいですね。
撮影・取材・文/舘幸子