管理会社に聞きました① 分譲マンションを買う前に…
分譲マンションに住むとお世話になる管理会社。何かと頼りになる存在ですが、多くのトラブルも目の当たりにしているそう。そこで今回は、快適で安心できる分譲マンションライフを送るため、沖縄県内で多くのマンションを管理している株式会社ナイスマネジメントの代表取締役の永島さんに、管理会社の視点で見た、マンションを買う前に知っておいてほしいことを教えていただきました。
永島達也 さん
株式会社ナイスマネジメント 代表取締役
マンションに関わるすべての管理運営をトータルにサポートする、沖縄のマンション管理会社。国土交通省への登録業者として不可欠な国家資格者である「管理業務主任者」の他、「マンション管理士」「宅地建物取引士」などの国家資格者を有し、専門的な知識と幅広い観点からマンションの適正な維持管理と円滑な管理組合運営のサポートを行っている。
分譲マンションの特性を理解しよう!
まずは、基本的な分譲マンションの特性を知りましょう。憧ればかりが募ると見えにくいこともあります。メリットもデメリットも、しっかり認識することが大切です。
分譲マンションのメリット
分譲マンションは多くの世帯が集合しているため、住みやすい工夫や管理体制がしっかり整い、戸建てでは得られない最新設備や高品質なサービスを享受できるのが魅力です。
共有施設や設備が充実している
宅配ボックスや24時間ゴミ出し可能なゴミ置き場、オートロックのエントランスなどは定番設備として定着しています。そのほかにも、キッズルームや集会所、ラウンジ、ワークスペースなどの施設があったり、24時間セキュリティシステムやコンシェルジュデスクなどのサービス機能が充実しているマンションもあります。
特に、不特定多数の人が出入りする建物なので、セキュリティに力を入れている物件も多いでしょう。
立地がよい物件が多い
マンションの建設・分譲を行う事業者は、売れる物件にするため利便性のよい人気エリアに建設します。戸建てで立地条件のよい土地を探すと手が届かない価格の場合もありますが、分譲マンションだと予算内でも希望するエリアで探すことができるでしょう。
「マンションは立地が全て」ともいわれているので、都心に近くて便利、高台で眺望が良い、緑豊かな閑静な街など、環境のよい場所に建設されることが多いのです。
資産価値が期待できる
管理会社が入りメンテナンスや修繕などを定期的にプロが行うので、建物の評価が下がりにくいのも特徴です。もともと立地条件のいい場所にあるので、長期的に見ても立地と物件、ともに価値を維持しやすいといわれています。
分譲マンションのデメリット
分譲マンションは共同生活を営む住まいなので、共通ルールを設定し住人同士でコミュニケーションを取るなど、集合住宅ならではの要素があります。
居住者同士の付き合いがある
建物はセキュリティがしっかりしていてプライバシーが守られていても、共有スペースでは居住者と顔を合わせます。同じ空間や設備を共有しているので、戸建ての隣同士よりも近い存在です。
毎日の挨拶はもちろん、お互いに協力し合う姿勢でいることが求められます。
共通ルールがある
共有設備には、ゴミの出し方や宅配ボックスの使い方、ラウンジやワークスペースの利用時間などの利用ルールが定められています。また、共有空間にも、私物は置かない、深夜や早朝に騒がない、などのルールがあります。
これは、居住者が快適で公平に暮すためにお互いが守らなければならないルールです。
管理組合への参加義務がある
分譲マンションは、各部屋のオーナーである「区分所有者」が管理組合に加入することが義務付けられています。建物の維持管理をするため、区分所有者たちが理事会を運営します。
理事長や役員は立候補で決めることもありますが、ほとんどの場合、1~2年交代で持ち回りということになります。
分譲マンションに住む心得
分譲マンションは「便利でプライバシーが確保されている」というイメージが強いかもしれませんが、多くの人たちが共同生活をする集合住宅であることを忘れてはいけません。マイホームとして購入しても、住んでいるのは自分たちだけではないし、占有空間以外は他の居住者たちと共有しているということを認識しましょう。
セキュリティがしっかりしている、いつでもゴミが出せる、などの快適な暮らしを得るためには、居住者同士の気配り・心配りが必要です。お互いに気持ちよく暮らすために、ルールを守り共同生活の責任を果たすという気持ちで住みましょう。
管理会社とはどんな存在?
分譲マンションの管理方法には大きくふたつのパターンがあり、ひとつは、マンションの区分所有者全員で構成されている管理組合が管理会社に委託するパターン。もうひとつは、管理会社に委託せずに管理組合が直接業者に発注するなど自ら管理業務を行うパターンです。
沖縄の分譲マンションの多くは管理会社に委託する方法を導入しています。管理会社は、管理組合から委託されたマンション管理の専門業者で、依頼主は区分所有者全員ということになります。
管理会社がマンションを運営していると誤解されがちですが、主となるべきはマンションの区分所有者全員であり、管理会社はそれをプロとしてサポートしながら実務を行うという位置付けです。
なので、管理会社に全てお任せするというよりは、自分たちの住む建物を安全でキレイな状態を保ち、安心して快適に暮らすために管理会社と協力し合う、と考える方がいいでしょう。
たまに理不尽なクレームを言うモンスターも出現するそうですが、自分たちの住まいです。クレームを言うばかりでなく、どうしたら快適に暮らせるか、自分はどうするべきかなどを考え、管理会社と一緒によりよい住まいをつくっていけるといいですね。
分譲マンションを買う前にチェックしたい5つのポイント
分譲マンションを選ぶポイントは、立地や間取りなどさまざまな条件があると思いますが、いよいよ購入するぞ!と決めたら、ぜひ次の項目をチェックしてみてください。管理会社がプロの視点でおすすめするポイントです。
共有スペースをチェック
エントランスやラウンジの広さや雰囲気、集会所やワークスペースの有無などを確認しましょう。共有空間を利用できるのが分譲マンションのメリットです。
無駄に豪華だったり広すぎたりすると管理費がかさんでしまいますが、ある程度のスペースがあると来客の応接スペースにしたり理事会を開催したりなど、何かと便利です。
共有設備をチェック
共有設備も管理費や修繕積立費に反映される部分なので、必要なものが適度に揃っているか確認しましょう。例えば、駐車場が機械式の立体駐車場の場合は機械の維持管理費も掛かります。
また、ジムやシアタールームなど自分のライフスタイルでは利用頻度が少ない設備がある場合も、管理費や販売価格に納得できるかどうかを考えてみるといいでしょう。
世帯数の規模感をチェック
共有スペースや共有設備が世帯数に対して適正か確認する必要もあります。例えば、大規模マンションなのにエレベータが1台しかない、という場合は毎朝混雑して時間がかかってしまいます。
せっかくの便利な設備も使いにくいと意味がないので、ゴミ出しスペースの広さや宅配ボックスの数なども、世帯数に合っているか確認しましょう。
メンテナンス、修繕計画をチェック
新築マンションも分譲時には、定期メンテナンスや長期修繕計画が作成されています。これらを基に修繕積立金が算出されているので、こちらも要チェックです。
資産価値を守るため、メンテナンスは不可欠です。修繕積立金がいくらで、どのように使われる予定かをきちんと説明してもらうといいでしょう。
管理会社をチェック
委託先の管理会社も分譲時には決まっています。どこの管理会社が入るのかは事前に知っておきたいポイント。
会社のホームページで実績や理念を確認したり、口コミを確認するのもいいですね。もし納得がいかない管理体制だった場合は、入居後に管理組合で決議すれば管理会社は変更することも可能です。
生活や資産を守ってもらう会社だから、どんな会社か知っておくのも大切です。
まとめ
管理会社の視点でみる分譲マンションの住み方や選び方は、とても参考になりますね!戸建てにはない魅力が満載の分譲マンションですが、快適に暮らすためには一人ひとりの気配り・心配りが大切。ルールとマナーを守って、自分たちで資産価値を高めましょう!
取材・文/仲西なほ子