限られたスペースでも開放的に!マンションにぴったりの家具選び7つのコツ

マンションという住まいの特性を活かすには、家具選びがカギになります。限られた空間でも“広く心地よく”暮らすために、どんなアイテムをどう選べばいいのか。見た目の印象だけでなく、搬入のしやすさや日々の快適性、そして家族との距離感まで——家具が変わると暮らしも変わる。その視点で、今回は沖縄のマンション暮らしに寄り添う家具のプロ・マックスプラス泡瀬店の棚原一俊さんに、選び方の工夫や人気のアイテム、リアルな購入傾向までじっくり伺いました。棚原さんの接客現場でのリアルな声を通じて、家具選びの本質をひもときます。

棚原 一俊 さん
マックスプラス 泡瀬店 スタッフ
アルバイト時代も含め、スタッフ歴は13年に。
現在は家具の専門スタッフとして活躍中。最初は家具に詳しくなかったものの、接客を通して知識を深めるうちに、その魅力にどんどん惹かれる。家具をとおして人の暮らしや気持ちを豊かにしたいという強い想いを持つ。
マックスプラス|maxplus
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【1】低め&細めで「抜け感」を意識する
マンション暮らしでは「高さ」と「足元のデザイン」が空間の印象を大きく左右します。床が見える面積が広いと、それだけで空間が広く感じられるとのこと。たとえばローソファや脚がスリムなテーブルは、床面を遮らず、視界に抜け感を生み出します。
「掃除もしやすいし、小さなお子さんやペットがいるご家庭でも安全性が高いですよ」と話す棚原さん。特にリビングでは“高さを抑える”ことが、くつろぎと開放感を両立させる鍵になるそうです。
【2】壁や床と調和するカラーを選ぶ
家具の色選びは、「実際に部屋に置いたときの“馴染みやすさ”が重要」と棚原さん。「店内では魅力的に見えたのに、家に置くと重く感じる」という声も少なくないそう。
「壁や床と近いトーンの色味を選ぶと、空間が広く見えやすくなります。沖縄の明るい光には、ナチュラルウッドやベージュ系が映えますね」。家具の色数を絞ることで、視覚的なノイズが減り、部屋に一体感が生まれます。アクセントカラーは、クッションやラグで楽しむのが◎ですよ。
【3】搬入経路とサイズは必ず事前に確認
「間取りにはピッタリ入っても、エレベーターに入らない、廊下で曲がれない、というトラブルは本当によくあるんです」と棚原さん。家具選びでは、実際に“家の中まで届けられるか”が意外な落とし穴に。
特に大型ソファやダイニングセットでは、クレーン搬入が必要になるケースも。費用が大きく変わるため、「搬入の段階で慌てないよう、事前にご相談ください」と棚原さん。マックスプラスでは配送専門のスタッフによる確認もできるため、安心して選べる体制が整っています。
【4】多機能家具で“省スペース+快適”を両立
限られたスペースを効率よく活かすなら、1つで2役以上の働きをしてくれる“多機能家具”が強い味方です。「収納ベンチやソファーベッド、最近はワークデスクと収納が一体になったアイテムも人気ですね」
オススメは「ヨーク」というローソファ。お手入れがしやすく、コンパクトながらしっかりとした座り心地が特徴。「お子様がいても安心して使えて、見た目も軽やかなので、マンションには本当におすすめです」と語ってくれました。
さらに背もたれも低く肘置きもないので、1つ目のコツでお話しした「抜け感」も演出してくれます。
【5】情緒を育む“円形テーブル”
「家具って、“感情を動かすアイテム”でもあると思うんです」。棚原さんのこの言葉が象徴するように、最近注目されているのが“情緒性”を重視した家具の提案です。
なかでも円形のダイニングテーブルは、家族や友人との距離を自然と縮め、コミュニケーションを豊かにしてくれるアイテム。「距離が近くなるから、話しやすくなるんですよね。お客様との会話でも『食事の時間が楽しくなった』という声をよく聞きます」
さらに、カーテンやクッション、ラグなどで季節感や色を加えることで、空間の印象を簡単に変えることも可能。「布ものを使うと、壁紙を変えなくても模様替えが楽しめますよ」と、気軽な提案も印象的でした。
【6】収納は“隠す”より“見せて活かす”視点で
収納といえば“隠す”というイメージがありますが、マンション暮らしでは“見せる収納”が空間活用のカギになることも。「キャスター付きのワゴンやオープンラックなどは、動かしやすくて便利。必要なときだけサッと使えるんです」
特に、「収納アイテムとラグ、照明を組み合わせたゾーニング(空間の使い分け)」を提案しています。ひとつの部屋でも“食事のエリア”“くつろぎのエリア”と使い分けることで、生活にメリハリが生まれます。
【7】ライフステージに合わせて買い替え&リユースも視野に
家具は「一度買って終わり」ではなく、暮らしの変化に合わせて見直すもの——それが棚原さんの考え方です。
「ご家族が増えたり、お子さんの独立や転職、在宅ワークの開始などで、必要な家具は変わってきますよね」。そんな変化に合わせて、買い替えやリユースを活用するのが賢い方法。
マックスプラスでは「グレース」「Re:OK」などの系列店舗での買い替えや買取も対応しており、「人生のサイクルに合わせた柔軟な提案をしていきたい」と語ります。
暮らしを変える、家具との向き合い方
「家具を変えたら、家族の会話が増えたんです」という声を何度も聞いてきたといいます。リビングでの時間が自然と増えたり、ソファに腰掛けての会話が生まれたり——家具は、家族の関係性にも影響を与える存在です。
「家具選びに“正解”はないと思います。でも、“今の自分たちの暮らしに本当に合っているか?”という視点は、とても大事」。
家具を選ぶことは、自分の暮らしを見つめ直すきっかけにもなります。最初から完璧を目指さなくても、少しずつ、日常を整えること。それが自分らしい暮らしづくりへの第一歩かもしれません。
空間を整えることで、心も整う
マンション暮らしの家具選びには、視覚的な“抜け感”や“広がり”を意識した設計と、生活スタイルに寄り添った機能性が求められます。それに加えて、棚原さんが繰り返し語ってくれた“感情に寄り添う提案”もまた、豊かな暮らしには欠かせない要素です。
「家具って、毎日をちょっと好きになるための道具なんです」。この言葉のとおり、家具はモノでありながら、気持ちや空間、人との関係を動かす“きっかけ”になり得る存在。
暮らしを整えるための第一歩として、自分の“いま”に目を向け、どんな空間で、どんな時間を過ごしたいのかを考えてみる。その先に、もっと心地よく、もっと自分らしいマンションライフが待っているはずです。
取材・文/新垣 隆磨