物件に宿る、物語と温度。〜沖縄不動産文庫が描く“暮らし”のかたち〜

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沖縄でマンション購入や移住を考える方にとって、物件選びは「暮らし方」そのものを選ぶことでもあります。
「沖縄不動産文庫」は、物件紹介に“物語”という温度を添えて、数字だけでは語りきれない魅力を丁寧に伝える独自の不動産メディア。
今回は、その世界観を形づくっているメンバーの想いや、運営会社ディ・スペックの取り組みを取材しました。

この方にお話しを伺いました!
ディスペックさん

 

左: 呉屋 智仁 マネージャー

中: 知花 瑛里 さん

右: 古謝 淳也 代表

 

ディ・スペック株式会社

 

2007年に宜野湾で設立された同社は、不動産管理・賃貸・売買を行う企業でありながら、“暮らしの物語”を紡ぐメディア「沖縄不動産文庫」を運営。情報ではなく空気感を届ける独自の姿勢が、多くのファンを魅了しています。
   
沖縄不動産文庫
   
https://www.dspec.jp/

 写真と物語で届ける、“物件以上の価値”

   
ディスペックコラム素材①
   
不動産情報と聞くと、間取り・価格・築年数といった「数字の情報」が真っ先に思い浮かぶかもしれません。しかし「沖縄不動産文庫」は、違います。
そこにあるのは、まるでエッセイを読んでいるかのような文章と、ゆるやかに心を動かす風景の写真。物件が“どんな暮らし”につながるか、丁寧に描かれた1ページが広がっています。
   
運営するのはディ・スペック株式会社。2007年の設立以来、現在は那覇市壺屋に事務所を構え不動産管理・賃貸・売買などを行いながら、沖縄の地域特性や住環境に根ざした発信を続けてきた企業です。中でも「沖縄不動産文庫」はSNSやWebメディアを活用した発信も特徴で、県内外の読者に静かな反響を呼んでいます。
   
ページを開くたびに、自分自身の暮らしを見つめ直したくなる。そんなメディアが、不動産というジャンルから生まれていることに驚かされます。
   

五感にひびく“暮らしの視点”が人気の秘密

   
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沖縄不動産文庫の記事は、スタッフ一人ひとりが物件ごとに担当し、文章・撮影・構成をすべて自ら手がけています。決まったフォーマットやテンプレートに頼らず、「その場所で何を感じたか」を素直に綴る。そんな姿勢が、読み手の心に届く秘密かもしれません。
   
記事には、“この家から見える空の色”や“部屋に差し込む午後の光”、“風の抜ける音”など、数字では表現できない魅力が詰まっています。「ヴィンテージ」という表現の仕方や、「日常に空を添えて」といった印象的なタイトルにも、物件を超えた“暮らしそのもの”を感じさせる工夫が込められています。
   
また、スタッフの多くがいわゆる“物件オタク”でもあり、“物語オタク”である点も印象的でした。欠点やクセのあるポイントも隠さず、むしろその個性を丁寧に言葉にする。そうすることで「これが私にとってのちょうどいい」と思える人に、ちゃんと届いていくようです。
   
そうした真摯なスタンスが、沖縄県外からのファンやリピーターを惹きつけているのも納得です。
   

メンバーの想いと日々のまなざし

   
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沖縄不動産文庫の魅力を語る上で欠かせないのが、スタッフそれぞれの想いと表現力です。
   
入社3年目の知花さんはもともと建物が好きで、「沖縄には昔から残る建物や空き家が多く、手を加えると古さがいい味になり、ぐっといいお家になるのでは」と可能性を感じたことがきっかけでディ・スペックに加わりました。「この会社では独自の目線や表現ができる」と語るように、知花さんは取材から写真撮影、文章制作まで1人で1物件を担当するスタイルに誇りを持っています。
   
「投稿した記事を見て内覧に来てくれる方がほとんど。“この文章を読んだから気になって”という感想をいただけるのが嬉しい」と話す知花さんの表情には、手応えと責任がにじんでいました。
   
また、呉屋さんは「コロナ禍で“おうち時間”の価値が見直された時期、自分自身も“居心地の良い住まい”を大切にしたいと強く思った」と語ります。
   
「物件の魅力だけでなく、あえて綺麗好きの方には気になるかもしれない部分も正直に書く。そうすることで実際に見たときのギャップがない」。この誠実な発信が、共感を呼び、良いお客様を引き寄せているのです。
   
「紹介する物件に明確な基準はありません。スタッフそれぞれが“好き”という気持ちで物件を選んでいます」とは、古謝代表の言葉。いわば“感覚的な共鳴”が、紹介される物件の個性を形づくっているのです。
   
知花さんは、本土での暮らしも経験しており、「都会では生活にフォーカスする余裕がなかった。沖縄は自然がすぐそばにあって、時間の流れがゆっくり」と話します。築古物件は不便もあるけれど、その不便を楽しめる感覚こそが豊かさではないか、と続けてくれました。
   
市場調査をする際も、「古民家や築古物件のポテンシャルを見つけたとき、“あ♪見つけた”って思わずにっこりしちゃうんです」と語る知花さん。物件に対する目線の温度が、そのまま文章にも現れているようです。
   
代表の古謝さんは、「確立された経済的価値のあるものだけではなく、ローカルで面白いもの、余白があってアレンジできる物件もおすすめしたい」と話します。
   
沖縄の文化や生活を大切にしながら、その本質を発信していく。その姿勢が、沖縄不動産文庫の静かな魅力となって広がっているのです。
   

引っ越しではなく、“価値観の再編集”かもしれない

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「沖縄に住む」という選択は、「空気に身を委ねて暮らす」ということ。どんなに素敵なマンションや住宅でも、土地のリズムに合わなければ、心地よく暮らすことはできません。
   
沖縄不動産文庫の表現には、そんな“リズムを見極める視点”が宿っています。
朝の光が柔らかく部屋に入り、海風が静かに抜ける午後。商店街の八百屋さんと笑顔を交わしながら、今夜のおかずを考える夕暮れ。沖縄の“日常”をちゃんと肯定し、そこに憧れを感じる人に向けた発信だからこそ、単なる観光気分ではなく「暮らしてみたい」と思えるのです。
   
ライフステージが変わるタイミング。子どもの進学、リモートワークへの移行、セカンドライフの始まり。そんな時こそ、「どう暮らしたいか」を見つめ直すチャンスです。沖縄不動産文庫が描く物件の数々は、その選択肢に豊かさと温度を添えてくれます。
   
また、“新築”や“築浅”といったラベルにとらわれず、自分の好きな余白や味わいを受け入れるスタンスも、新しい住まい選びのヒントになるかもしれませんね。
   

“新しい家”と“新しい自分”に出会うために

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※「ブンコノブンコ」はディ・スペックが運営する書店です。
セレクトした新書や古書、ZINEやリトルプレスなど、少部数発行本を取り扱っています。
ワンドリンクオーダーで、カフェやコワーキングスペースとしてもご利用可能だそうですよ。
   
沖縄不動産文庫は、ただの不動産紹介メディアではありません。それは“物語とともに家を探す場所”。
静かな海風と暮らしの余白が調和した、新しい住まい選びのあり方を教えてくれます。
   
そして、私たち「ことことじかん」も、そんな沖縄不動産文庫さんのように、
沖縄で暮らす素晴らしさを共に伝えていきたいと願っています。
   
沖縄の豊かな生活や“余白”を大切にする仲間として、一緒に頑張っていけたら嬉しいです。
   
「住まい」は、人生の一部であり、心のあり方を映す鏡でもあります。
新しい家を探すことは、新しい自分と出会う旅。
その旅のはじまりに、沖縄不動産文庫がそっと寄り添ってくれるかもしれません。   

   
取材・文/新垣 隆磨

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